大判例

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札幌高等裁判所 昭和30(う)280 高裁判例

主 文

本件各控訴を棄却する。

事 実

本件各控訴の趣意は、弁護人海老名利一提出の控訴趣意書記載のとおりであるか

ら、ここにこれを引用する。

右控訴趣意第一点(法令の適用の誤)の一について

しかし、婦女に売淫をさせた者等の処罰に関する勅令第二条違反の所為と札幌市

風紀取締条例第六条違反の所為とは、各規定の内容からみて、別個独立の犯罪を構

成し、後者の所為が当然前者の所為に包含される関係にあるものと解し得ないか

ら、所論は、この点において前提をかき、到底採用するを得ない。

同二について

原判決が、被告人Aに対する昭和二十九年十二月二十七日付起訴状記載の札幌市

風紀取締条例第六条第二項違反の所為と同年同月二十八日付起訴状記載の札幌市風

紀取締条例第六条第二項違反の所為とが常習犯の一罪をなすものと認定しながら、

主文において後の起訴事実に対し公訴棄却の言渡をしなかつたことは、本件記録に

徴し、所論のとおりである。しかし、検察官としては、後の起訴事実が前の起訴事

実と併合罪の関係にあるものとの見解のもとに追起訴の形式を以て、前の公訴の繋

属している原裁判所に対して公訴を提起したものであることも本件記録に徴して明

らかである。而して、かかる場合、後の起訴事実は、本来、訴因追加の形式を以て

なさるべきであり、しかも、追起訴と訴因の追加とは、その方式、要件、効果等を

異にし、追起訴<要旨>を訴因の追加と認めることはできないとしても、おおよそ、

追起訴も訴因の追加も当該行為について裁判所の</要旨>審判を求める行為である点

において変りがないことおよび追起訴は、訴因の追加よりも丁重な方式でなされる

ことに鑑みると、同一の手続で審理が行われる以上後の公訴を棄却し、改めて訴因

の追加をさせることは、訴訟経済に反するから、そのまま、実体的判決をして差支

えないものと解すべきである。原裁判所は、これと同一の見解に立つて前記両事件

を併合して審理し、すべてを常習犯の一罪をなすものと認定したものであることが

認められるから、前説示に照し、原判決が特に後の起訴事実について公訴棄却の言

渡をしなかつたからといつて、何等違法はない。論旨は理由がない。

同第二点(いずれも量刑不当)について

本件記録ならびに原裁判所で取調べた証拠により認められる被告人A、同Bの本

件各犯行の動機、態様、回数その他諸般の事情を総合すると、所論を考慮に容れて

も、被告人両名に対する原判決の量刑は相当であつて、不当に重いとは認められな

いから、論旨はいずれも理由がない。

よつて、刑事訴訟法第三百九十六条により本件各控訴を棄却すべきものとし、主

文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 原和雄 裁判官 水島亀松 裁判官 中村義正)

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